文科省が日本私立学校振興・共済事業団に100億円を出資

政府の新経済対策として、文部科学省は8日、高校生を対象にした就学支援を大幅に拡充し、今後3年間で480億円を充てる方針を決めた。景気悪化の影響を見越し、私立高校生の授業料減免のための予算を拡大するほか、奨学金も国公私立を問わず広げる。私立大生の授業料減免についても新たに100億円の予算を組む方針だ。

日本私立中学高等学校連合会の調査によると、昨年末時点で学費を滞納している私立高校生は2.7%で、9カ月前に比べて3倍に跳ね上がっていた。文科省は、景気の状況がこのまま推移すれば、公的な支援を必要とする生徒が今後3年間で延べ20万人前後増えると試算。経済的な理由で退学者が続出する事態を防ぐため、財政支援を拡充することを決めた。

私立高生の授業料減免制度は都道府県が主体になっており、07年度は全体の16%に当たる約17万人を対象に約260億円が割かれた。国の支援は保護者が失業した生徒や生活保護世帯の生徒に限っており、都道府県補助分の半額を出しているが、対象者は制度を受けている生徒全体の4%弱、予算は6億数千万円程度にとどまる。

今後、支援策の細部を詰めるが、各都道府県に基金を設立してもらった上で、そこに財政支援する方式を検討。できる限り多くの生徒が支援を受けられるようにしたいとしている。

私大生については、文科省日本私立学校振興・共済事業団に100億円を出資し、事業団を通じて授業料減免制度を支援する方針だ。日本学生支援機構奨学金の返済が困難な人が増えているため、返済猶予を認める収入基準も緩める。