「ヴェトナム民主共和国」

東アジア(ASEAN+4=中国、韓国、日本にインドを加えた四か国)の文脈では、それだけではあまり妥当性があるとは認識していない。「中間層が民主化の母体になるかどうか」という議論を背景として、それにもっと異なった角度や要素を添加して政治体制…

訴訟アレルギーに陥った時

そのような事情も知らない世間では、原告が子供の死によって、あたかもすでにお金をもらったのが許せないといったかのようなトーンの非難が激しく沸き起こったのでした。この事件は、弁護士をけじめ裁判に関わる者にとっては、極めてショッキングな事件でし…

ボトムアップが支える「継続の論理」

これは何も霞が関の官僚ばかりではない。私たちの市町村や区で、バブル時代に計画した豪華な文化ホールを、高齢者に支給していたオムツを半分に削ってまで着工しようとしていないだろうか。バブルが崩壊しても、市民のつましい生活と不釣り合トな豪華庁舎が…

米韓同盟解消への懸念

南北首脳会談後の記者会見で、金大中大統領は在韓米軍を「国連平和維持軍」に替える構想を金正日総書記に伝えた、と明らかにした。アメリカのワシントンでは、この金大中大統領の発言に、国防関係者らが驚愕した。それは「米韓同盟の解消」を意味するからで…

金融機関の腐敗の始まり

かつてレーガン大統領時代に、1980年、OPECは原油価額を1バーレル104ドルに引き上げた。このためにアメリカ国内の石油・ガス価額もまた高騰し、その探査・採掘フィーバーが起こった。探査にはもともと投機性がある。その曖昧でリスクの多い事業に対して債権…

巨額の資金が瞬時にして動く

巨額の資金が瞬時にして電子的速度で動く性格の信頼性に立脚した市場であり、あらゆるリスクが渦巻いているといってよい。しかもそのリスクには特定国の政府や中央銀行、国家連合や国際金融機関なりの指導・監督・チェックが働くことのない自由な、換言すれ…

アジアの中間所得層

新興国などで年間可処分所得(税金を引いたあとの所得)が5000ドルから3万5000ドルの問に入る人のことを、中間所得層と呼ぶそうだ。日本円にして50万円から350万円ぐらいの間だろう。途上国や新興国の物価が安いことを考えれば妥当な数字だ。今アジアに…

アジア工業化がもたらすもの

一九七〇年代になって、変動相場制への移行が行なわれた。しかし、資本の国際間移動は、自由ではなかった。したがって、製造業の移転という問題は生じなかったのである。八〇年代になって、資本輸出国の側では為替管理が緩和され、資本輸入国の側では外資の…

キャッチ・アップのダイナミズム

長嶋氏が巨人軍の現役選手であったのは一九五八年から一九七四年までの一七年間であったが、この間は奇しくも日本経済の驚異的な高度経済成長時代にほぼピッタリ一致するのである。ちなみに、この長嶋時代の年平均実質経済成長率を計算すると九・三%となる…

圧倒的な勢力となった軍部

このクーデターの失敗により、PKIは壊滅的な打撃を受けた。また、三者間のバランスの崩壊を危惧して、さいごまでPKI擁護の立場をとりつづけたスカルノも威信を失墜させた。そうして、インドネシアの政治舞台におけるほとんど唯一のパワーグループは、…

企業中心主義との矛盾

こうした矛盾ぱ、けっして「消費者密着」といったことにのみ関わるわけではない。「大都市集中」「地方不在」型の経済発展ではなく、地域間でバランスのとれた、より分散的な日本経済を構築するという課題においても、同様の問題が発生する。なぜなら、それ…

反共の軍

自衛隊創設過程におけるこのねじれが、「一九五〇年以後に始まる長く激しい再軍備論争」示林直樹、前掲書)のもととなったのは当然だった。九条をめぐる議論が神学論争などと称されるいわれはない。論争は最高法規をねじ曲げる権力の濫用に対する、具体的で…

自給自足できる国はわずかである

世界の製造業を見渡して、どこでどの企業がどんな性能の部品を製造しているかという情報を握っていれば、それを念頭において、完成品の設計が出来る道理である。大衆的な製品であれば、これで十分に競争力のある商品を開発できる。「日本経済の混迷を解く大…

失業率低下と財政黒字

米国経済の優位は、特に日本との対比によって際立つたかたちで表れている。わずか十年前まで「アズ・ナンバーワン」の高みから「怠け者の大男」と、米国を見下すようなそぶりを見せていた日本に対して、劇的ともいえる再逆転を演じているからである。何より…

行政の情報公開等

いまさら、というべき規定である。情報公開法のモデルとされる米国の情報自由化法が成立したのは。九六六年七月四日の米国の独立記念日だった。その後、先進各国で同様の法律が次々に誕生した。日本でも、地方レベルでは山形県金山町が一九八二年三月十九日…

農民の反乱を収拾できなくなる

七八年四月、ダウトを暗殺して、タラキがひきいる人民民主党が政権を獲得したものの、内部抗争が激化し、七九年九月、最急進派のアミンがタラキを殺害して大統領になった。ところが、土地改革にたいする農民の反乱を収拾できなくなり、政権の存続そのものも…

戦後の新社会の出発

刺激的な毎日でしたね。なにしろ、理屈でものを考えなくちゃならない。級友も個性的な人が多かった。ただ、教えられる内容は旧法だから、意欲いっぱいの若い女性にとって気持ちいいはずがない。「女は婚姻によって夫の家に入る」だの、「妻は無能力」だの。…

悪人だけが法律に関心を持つ日本

皆さんは、法律とか裁判についてどういうご関心をお持ちでしょうか。興味本位は別として、実際のところは「裁判なんかには関係がない」、だから「法律にもあまり興味はない」というのが普通でしょう。「法律」ならば、「多少は関係あるかな」という感じでは…

自身のお産を安全に乗り切ること

しかし実際には、ほとんどすべての妊産婦が産科医や助産婦への受診や助産を希望し、行政もまたすべての妊産婦が産科医療者の管理のもとにあることを奨励しているから、現実には医療対象疾患のような扱いをされている)、出産は女性なら誰もが出会う身体の生…

本質的な形にするための改革

「ハイレペル」委員会の答申に対して私は、なぜ出身国の国益に左右されずにすむほどのハイレペルな有識者たちであるのに、六十年も昔の大戦の勝利国が今なお支配するシステムでつづいている安保理の現状は、抜本的に改めるべきとでもいう、本質論を展開して…

医師や看護婦に患者の苦しみはどこまで分かるか

自分の経験からしても、まして医師の資格のない人が患者になった場合に、医師と対等に対話する目的で独学で専門家に匹敵する医学・医療の知識を得ようとすることは無理であり、無駄なことである。医学はそんな生やさしい学問ではない。しかし、患者や健康人…

貸出能力が過度に萎縮

国際的に妥協が成立し、「第一次」の自己資本には払込済資本金や準備金のみを計上するが、日本の場合、保有有価証券の未実現キャピタルーゲインの四五%を「第二次」自己資本に算入することが認められるようになった。当時国際業務の拡大に注力していた邦銀…

政策決定は政・官の構図と無関係

「政」と「官」という問題の立て方がまちがっているとすれば、官僚論をどのように展開すればよいのであろうか。筆者にはその基本的な軸の一つは、「公」(召回り)と「私」(pri-vate)であると思われる。「私」の利益の追求が主となる民間に対して政府…

自家中毒」は激症の心因性の胃腸障害だそうだ。

自家中毒で死ぬ幼児は、最近でこそほとんどいなくなったが、かつては恵まれた家庭に育った若夫婦の最初の子供には決して珍しくなかった。当時は虚弱体質のせいにされていたようだが、戦後になって、あれは幼児の激症の心因性の胃腸障害、幼児の急性胃潰瘍の…

高度成長時代の象徴である国土総合開発法

過去四次にわたる計画にしたがって行われた「むつ小川原開発計画」の失敗、都市再開発によって引き起こされた地価の高騰と都市の破壊、「全国一日交通圏」によって強行されているムダの多い新幹線や高速道路網の建設など、振り返ってみれば全総の功罪のうち…

経済発展との因果関係

およそ一国の発展には、熟練労働者群、企業家階層、テクノクラート集団を創成し、インフラを整備し、市場経済の発達をうながすなど、困難な課題に取り組むことが必要である。これら諸課題にたち向かう国民的営為のすべてが、すなわち「自助努力」にほかなら…

フロイトの立場

異常心理をめぐるさまざまな考え方のなかで、精神分析学は幼児期の人間関係を重視することで知られている。「何もかも性に結びつける」「余りに解釈をしすぎる」「公式的、ドグマ的である」などいろいろ批判も多く、またそれらの批判が当たっている面もたく…

小沢一郎は何がしたいのか

沖縄、大阪、宮崎での地方分権運動の連携は、かつての「薩長同盟」になりうる。日本人は、陶酔の対象を「坂本龍馬」など美化(誇張)された昔の物語に求める必要はない。明治維新と並ぶ大転換の物語が、今の日本で始まっている。今回は、選挙で選ばれた首長…

オンライン・ショツピングは小売業を変える

ニューズ・オン・デマンドのコンセプトは毎日発行される新聞ビジネスの形態にも影響を与えずには置くまい。もしかすると、明日の新聞が前日の夜のうちに読める状況になる。従来タイプの新聞はどういう魅力を付加できるのか。これまでの大新聞は、既存の販売…

カタールはフェアな国か

ハリーリーは二〇〇五年にベイルート市内で起きた爆破事件で暗殺されてしまいます。この暗殺事件をきっかけに「杉の革命」と呼ばれる国民運動が始まり、シリア軍をレバノン国内から撤退させました。レバノンは一九七六年から三十年近くにわたってシリア軍が…