非正規雇用労働者の雇い止めが横行

今年もメーデーの5月1日がもうすぐ巡ってくる。「100年に1度」と言われる経済不況が世界中を覆い、日本では派遣など非正規雇用労働者の雇い止めが横行、正社員の解雇や会社の倒産も急増している。くしくも、日本では80回目という節目のメーデーでもある。日々、厳しい環境で働いているのだから、せめてこの日だけでも声を大にして不満や怒りを訴えたい。

「うれしいですね。こんなに仲間が集まってくれて。僕は一人だと、ずっと思ってきたけれど」。昨年末、東京都内の自動車工場で契約期間内に雇い止めにあった鈴木重光さん(36)は、工場前での抗議のビラまきに集まった労働組合のメンバーを見て涙ぐんだ。白い息を吐き、手足をこすりながら、午前6時半に約20人の仲間が駆けつけてくれた。

雇い止めを通告され、住んでいた寮の退去も迫られた。絶望の中で個人加盟の労組、首都圏青年ユニオンに相談すると「黙って辞めなくてもいいんだよ」とアドバイスを受けた。鈴木さんと、もう1人が労組に入り、交渉で寮に住み続けることを認めさせた。鈴木さんは「理不尽なことには声を上げてもいいんだ。1人ではくじけてしまうけど、仲間がいることは本当に心強いと思った」と振り返る。

メーデーは、一人一人ではなかなか思いを伝えることもかなわない労働者が、切実な声を一緒に上げることから始まった。1886年5月1日、米国シカゴ周辺の労働者が8時間労働制を求めて統一ストライキを実施したことが起源とされる。日本では1920(大正9)年5月2日、東京・上野公園で第1回メーデーが開かれた。戦前は治安維持法下で労働運動への弾圧を受け、中止期間を経ながらも回を重ねてきた。