「離職者訓練」に応募者が殺到

資格取得を目指す社会人らでにぎわうLEC東京リーガルマインド水道橋本校 定員の5.74倍も 修了者就職率は低下。

雇用情勢の悪化で、国の職業訓練を担う独立行政法人雇用・能力開発機構」が求職者を対象に各地で開いている「離職者訓練」に応募者が殺到している。神奈川県は昨春の3・13倍から今春は5・74倍に。民間の公務員中途採用講座も申し込みが急増。一方、離職者訓練修了者の就職率は低下し、スキルを磨いても生かす職場が少ないジレンマに悩む。

神奈川県内の非破壊検査会社に15年勤務し、体調を崩して昨年9月に退職した男性(56)は、再就職を目指して同機構の施設「ポリテクセンター関東」(神奈川県)の離職者訓練に応募。10月から6か月間、ビルのメンテナンスの訓練を受ける計画だった。だが、15人の定員に52人が応募し、男性は受講できなかった。今年1月開講の訓練に再応募して滑り込み、6月にビル管理会社の社員に内定したという。

全国のポリテクセンターの4月開講の離職者訓練では、神奈川以外にも岩手が3・38倍(前年1・16倍)、群馬が2・88倍(同1・29倍)、岐阜が2・59倍(同1・47倍)など応募が高倍率の地域が続出。全国平均でも、2004年から08年まで1・62〜1・81倍だったのが、09年は2・00倍に。同機構は「転職を目指す人のほか、雇い止めにあった非正規労働者などが増えた」と話す。

一方、景気低迷で受け皿企業の求人数は減っている。訓練修了者の就職率は例年、80%以上の水準で推移し、07年度平均も82%だったが、今年1月は73・1%、2月は74・9%。同機構は昨年度2万8853人だった離職者訓練の総定員を今年度は3万1809人に増やしたが、厚生労働省能力開発課は「入り口だけでなく出口(雇用)を広げなければ就職率改善は困難」とする。